決断と行動するDOers

川上 貴広 Takahiro Kawakami 株式会社ジャパンスタイル
代表取締役
川上 貴広

日本の住宅寿命を延ばし、住宅が原因で病気になる人を減らす。
お客様の不満がすべて解消された家づくりを
全国に広げていきます。

会社の理念は「伝承調和」。
世界に誇る日本の伝統技術と最先端の技術と調和させた、ジャパンスタイルの目指す家づくりとは。

Profile

川上 貴広 株式会社ジャパンスタイル
代表取締役

1974年、群馬県桐生市生まれ。小学生の頃、九星気学の運命鑑定士である父親から「将来、建築家になる」と言われ、実際に建築学科に進学。長年リフォーム事業に携わるうち、日本の住宅寿命があまりに短いこと、住宅が原因で家族が不仲になったり、病気になったりすることを目の当たりにし、住宅業界の現状に疑問を抱く。10年前から新築住宅事業を手がけ、「家族みんなが愛着を持てる家づくり」を群馬県から全国に発信する活動を精力的に展開している。

日本の住宅寿命は世界でも最低レベル

私は現在の住宅業界に強い危機感を抱いています。日本の住宅は欧米だけでなく、アジアの国々と比較しても、例えば耐久性や寿命に関して世界で最下位に位置づけられるからです。海外では基本的に100年から300年の住宅寿命があります。ところが、日本の住宅の寿命は平均して26年くらいしかありません。
それなのに、30年から35年のローンを組むことが当たり前になっている。つまり、ローン残高がまだ残っているのに家を建て替えなければいけないのです。こうした日本の住宅業界の現状を変革する必要があります。

海外では自分の家をDIYやリフォームで、より長くもたせるという考えが主流です。住宅の資産価値を減らさないように努力しているのです。
日本の住宅は長くもっても30年程度。多くの人は家を建てる時、住宅の寿命はそれくらいだという前提で、「とりあえず今住みたい家を建てよう」と考えます。「どうせ30年経ったら壊さなければいけないのだから」という考えが、お客様にも建築会社にもあります。

その結果、「安ければいい」、あるいは今現在の不都合を埋めることのできる家を欲しがる傾向があります。これでは海外との住宅寿命の差が縮まるはずがありません。ずっと世界で最低レベルの住宅寿命のままです。
これが、私がなによりも強く抱いている懸念点です。

家庭不和を生む家、病気を作る家……

お客様が「今住みたい家」を建てることで何が起こるのか。間取りは自分が希望したとおりであっても、住み始めて3か月ぐらいで、「暑い」「寒い」「思っていたのと全然違う」という声があがってきます。そのため暖房や冷房などの光熱費が思いのほか、かかってしまいます。住宅ローンを払っているのに、さらに高額な光熱費が必要。その結果、ローンの支払いが破綻してしまうこともあります。
寒さ暑さによって引き起こされるストレスが原因で健康を害したり、精神的に参ってしまう人も多くいます。

これは、とても残念な現実だと思います。暖かい家で家族の調和も取れ、家族が大事にしている家に住み、子供たちにも「この家を継ぎたい、この家を守っていこう」という思いを持ってもらえる住宅の提供を私たちは目指しています。

リフォーム事業から新築住宅の施工に

私の父は、九星気学という運命鑑定士でした。小学生の頃に父から「お前は将来、きっと建築家になる。今からそれを意識しておきなさい」と言われましたが、当時は、父が何を言っているのか、よくわかりませんでした。
運命鑑定士である父は、家相(住宅の相)も見ていました。家相をチェックして、「玄関の位置がよくないから、直さなければいけない」「方位を守らないで家を建てると、家族が離散する危険がある」と言ったりするのを聞いていました。
もちろん、家がすべての原因ではありませんが、家はとても怖いものであること、人生を左右してしまう大きな存在であることを意識しながら、父の言葉に感化され、建築の世界を目指し、建築学科に入りました。

私がこの業界に入った30年くらい前は、中古住宅をリフォームして販売することがちょっとしたブームで、リフォームを数多く手がけていました。
リフォームに際して、お客様からよく聞くのが「寒い」「暑い」「ここを直してほしい」という不満です。「新築の時にちゃんと作っておけばいいのに」といつも思い、こうした悲劇をどうしたら防げるのかと考えました。
根本的な解決策は、住宅にかかるランニングコストを減らすこと。家の中の温度が一定であれば、住んでいる人のストレスは減るはずです。
お客様に私の思いを伝えていると、「リフォームでそこまでやるのなら新築もやってくれないか」という声もあり、新築事業を始めました。新築住宅を手がけるようになって10年くらいです。

日本には世界に誇る木造建築の技術がある

私が住む群馬県は、日本で二番目に車の多い県です。交通事故が原因で亡くなる方も多くいます。ところが統計データを見ると、群馬県では家にまつわる原因(心疾患やアレルギー、ぜんそく系などを含む)で亡くなる方が、交通事故の死亡者の15倍多いのです。
また、建築の法律を勉強していく中で、私はたいへんなショックを受けました。今の日本の建築基準はあまりに低く過ぎて、日本の基準では家を建てることを許可されない国が世界には多くあることを知ったのです。しかし、日本の法律は改正されません。
日本は、住宅を建てる大工さんの技術は世界一です。現に何百年も保っている神社仏閣がたくさんあります。せっかく世界一の技術を持った大工さんがいるのに、世界で最低基準といえる短命な家を作り続けている。大工さんの技術を重んじるのではなく、より効率よく、よりコストを下げて売れるものを作ろうという業界の傾向があります。
この状況を何とか変えなければいけない。そうした思いを抱きながら住宅づくりに取り組んでいます。

家を建てたお客様がほかのお客様を紹介してくださる

私が新築住宅を手がけるようになった当初は、「そこまでこだわる必要があるのか」と多くの業者さんに笑われました。それに、お客様もあまり高い性能の住宅を求めていませんでした。
そんな時に私は、「10年後には必ずこの家を建ててよかったと思うはず。差額分は自分で出してもいいので建てさせてほしい」とお客様にお願いして、何軒も手がけました。
実際に住まわれた方から「ほかの家とは違う。快適性がとても高い」「ぜんそくがよくなった。アトピーがよくなった」と言ってもらえました。そうした声がどんどん大きくなり、お客様がほかのお客様を紹介してくださるようになったのです。
私は、自分たちがやってきたことに間違いはなかったと自信が持てました。

「格好いい家」を目指して失敗

私にも格好いい家を作りたかった時期があり、お客様の要望を聞きながらも、自分が考えるベストな家を提案しました。その時は格好よさを追求するあまり、コストが少し上がってしまいました。お客様は断熱の性能をあまり求めていなかったので、それに便乗して断熱は最低限にし、とても格好いい家が出来上がりました。

しばらく経つと、お客様が、「最初のうちは友だちが来てくれたけど、だんだん来る人が減ってきた。それに『格好いいけど、この家は寒いね』『この家は暑いね』とみんなが口にする」と言うのです。半年後には、「この家は失敗でした。川上さんのアドバイスに従って格好いい家を建てましたが、外観は3か月で見飽きてしまいます」とのお言葉。
ショックを受けた私は意地になって断熱関係を全部、会社負担でやり直しました。その結果、ものすごく快適な家になりました。お客様からは、「やっぱり暖かい家が一番だね」と言われました。

格好いい家を追求している時は、旦那さんと私が意気投合して話をどんどん進めました。これは一番駄目なパターンです。奥さまの声を聞かず、男だけで作り上げてしまったのです。あの時の失敗経験は今でもお客様にお話ししています。

間取りに設計のプロの経験値を取り入れる

建築会社では設計に関して、営業マンがお客様の窓口になります。営業マンがお客様の要望を聞き、その要望を営業マンが形にしたものを設計士がチェックして図面化します。
多くの工務店や建築会社は自社で設計を行い、お客様の要望を設計士が図面にしていきます。当社も同じですが、この方法は切り替える必要があると思います。
専門家ではない営業マンがお客様の要望を聞いて間取りを形にしていくことに、私は違和感を覚えます。

本来、家づくりでは設計図がすべてのベースであるべきです。設計図も世界に誇る間取りでなければいけません。日本中に建築家や設計士というプロの方々がいます。ただし、建築家や設計士に図面をお願いすると、比較的高額になるという現実もあります。しかし、そうしたプロの経験値を間取りに取り入れていかないと、本当の意味での世界に誇れる家は作れないのではないかと考えます。

注文住宅ではお客様の注文を聞きすぎると、かえって住宅性能が下がってしまいます。お客様の注文を聞きすぎてしまう最大の要因は、「家を売りたい」からです。ただし、このスタイルでは一生涯住む家、ましてや100年以上も住める家は実現できません。
お客様の要望を取り入れながらも、家にはお届けしなければいけない根本的なベースがあります。それはプロが考え抜いた形です。それをベースにお客様がカスタマイズしていくべきなのです。

隈研吾さん、鈴木エドワード建築設計事務所との出会い

私たちは群馬県で活動していますが、ほかの県やエリアにも「自分たちは良い家を作っている」という人がいっぱいいます。そうした人たちも、やはり売れる家を作ることが一番で、「価格が高くては売れない」と言われます。

そうした現状を打破するため、私の思いを知名度のある方にお伝えして、お力を借りたいと考えました。そこで、「DOers」編集長の杉山大輔さんのご尽力で、世界的建築家の隈研吾さんと鈴木エドワード建築設計事務所の方とお会いすることができました。
私の家づくりへの思いをお話しすると隈さんに共感していただくことができ、自分たちの活動が正しいことを確信できました。隈さんからは、「日本の住宅をより良くしてください」とのお手紙も頂戴し、大きな励みになっています。
鈴木エドワードさんは2019年に亡くなられましたが、エドワードさんの奥さま、長年一緒に仕事をされてきた事務所の方とお話ししたところ、日本の住宅が世界から見て遅れをとっていることに危惧をしていること、35年の住宅ローンを組むのに30年以内に住宅の寿命がきてしまうことは根本的におかしいのではないかとおっしゃいました。私の考えに共感していただき、目指している思いが近いことがわかり、本当に嬉しく思いました。

営業マンがお客様の要望を聞いて間取りを考えるのではなく、プロの建築家が培ってきた英知を取り入れた図面を作る。その図面をもとに私たちの建築技術や匠の職人たちの技術を入れて一つの住宅として完成させる。これを一緒に行いたいと伝えました。おかげさまで、これから日本の住宅のため一緒に活動していくことが決まりました。

この活動が広がれば、群馬の田舎の建築家が「日本のために」などと言っても耳を貸さなかった人たちの反応も変わってくるはずです。「著名な建築家たちが賛同して、本当の家づくりが動き始めたぞ。自分たちも形を変えなければいけない」、そんな危機感を持ってほしい。そして、多くの建築家や工務店から、一緒に仕事をやりたいという声が徐々に広がってくると信じています。

本当に良い家は、住宅寿命はもちろん、健康寿命を延ばすことも可能になります。これからは、住宅が原因で病気になる人たちを減らす活動を、全国に広げていきます。

Message

杉山大輔さんの著書『行動する勇気』を読んで、彼のことを知りました。「思い悩む前にアクションを起こすこと、これが最短の解決策となる」という杉山さんの熱いメッセージに心を打たれ、ぜひお目にかかりたいと思いました。
実際にお会いしてからは「勇気を持って行動すること」を実践できるようになり、これが本当に最短の近道、解決方法であることを実体験しています。社員にも杉山さんの考えを伝えて、実践するように伝えています。
鈴木エドワード建築設計事務所さんとのご縁をつなげていただき、群馬県という狭いエリアにかぎられていた私たちの活動を、日本中に広げるという夢に一歩近づくことができました。ありがとうございます。

株式会社ジャパンスタイル
代表取締役
川上 貴広
Interview and Editor : Daisuke Sugiyama | Text : Yutaka Inagaki | Photography : Atsushi Arakane
VILLA FOCH GINZA -2004年- 西麻布という土地で、わずか15席の小さな空間から始まった「VILLA FOCH」。
“VILLA”はプライベートな空間を意味し、“FOCH”はパリの高級住宅地Avenue Foch(フォッシュ通り)に由来します。ラグジュアリーなプライベート空間の提供を目指すブランドとして、銀座にて新たに「VILLA FOCH GINZA」をオープン。
銀座エリア最大級のバーラウンジで愉悦のひと時をお約束します。
営業時間|14:00~03:00(L.O 2:30)
定休日|日曜日
席数|カウンター 9席 / ソファー 28席 / VIP 2部屋 20席
住所|東京都中央区銀座5-7-6 i liv 10F
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